2016年9月21日 (水)

「食の安全」ふたたび

 衛生上の問題や産地偽装など、「食の安全」に関連する事件・事故は、忘れた頃に再発する。古くは北海道の食肉製造加工会社「ミートホープ」(破産)による食肉偽装、「白い恋人」「赤福」などの消費期限の偽装、中国毒ギョーザ事件、BSEや鳥インフルエンザなど…。論文試験でも「食の安全」「食の安全に関して行政ができること」といった課題が忘れた頃に出題される。

 今度は、千葉県市川市の介護付き有料老人ホームでの腸管出血性大腸菌O157の集団食中毒。この老人ホームと同じ給食施設を使っていた東京都羽村市の高齢者施設でもO157の集団食中毒が発生した。牛など家畜の糞便中に見つかり、菌に汚染された飲食物で感染する。1996年には、堺市で学校給食が原因で9,000人以上が発症する集団食中毒が起きた。食中毒は一般的に気温が高い初夏から初秋にかけて多発するが、O157は感染力が強く、気温が低い時期にも注意がいる。今回は老人ホームで患者が相次いだ。免疫力が低下している高齢者や子どもが感染すると、重症化しやすいという。今回は「きゅうりのゆかり和え」からO157が検出された。2012年には北海道で、白菜の浅漬けを原因とするO157の集団食中毒が発生している。最近は化学肥料などを使わずに栽培される野菜が増え、野菜に肥料の牛のふんなどが付着していることもある。O157が付着したまま調理することがないよう、しっかり洗うことが大切ということだ。

Photo

http://www.med.or.jp/chishiki/o157/002.html

 ただ、これらの事件・事故に比べ、東京・築地市場の移転先となる豊洲市場の土壌汚染対策に係る一連の問題は、行政が主導した点でスケール、意味合いがまったく違う。「食の安全に関して行政がしてはいけないこと」。今も環境基準値超のシアン化合物やヒ素が検出され、食の安全を脅かす不透明な作業工程が発覚する中、食の信頼性を回復すべく誰もが納得のいく究明と対応・対策を講じていただきたい。

Photo_2

「こちらの資料は現在調査中ですので、内容が確定し次第、正確な情報を掲載します」ということで…。

2016年9月14日 (水)

行きたくなる大学・中京大学で講演

 9月12日(月)、国内主要8都市で「行きたくない」街ナンバーワンの名古屋市にある、中京大学(名古屋キャンパス)で講演。

Photo

 大学の資格センターが運営する公務員講座(協力:講師ネットワーク)の受講生(3年生)および公務員準備講座受講生・未受講生(2年生)を対象にダブルヘッダー講演。第一部は、2年生を対象とした「公務員の魅力とその対策」、第二部は3年生を対象とした「公務員試験の動向と受験対策」。国家総合職・一般職、地方上級レベルを中心とした、試験の動向分析、業務内容や合格の決め方(配点、難易度等)をはじめ、効率のよい学習の取組み方について講演した。

 公務員講座には、3年生向けと2年生向けがある。3年生が受講している講座は国家公務員をはじめとする難関公務員をめざす講座、2年生が受講している講座は3年生向け講座の前哨戦のような講座で、目標を行政書士試験において、その中に、公務員研究や面接対策などを盛り込んだ講座。これら一連の指導は“中京方式”と呼ばれ、早期からじっくり合格力を醸成する

 東海地区の学生は特に地元志向が強い。中京大学でも近年、市役所(政令都市以外)を希望する学生も増えてきているそうだが、受講生の中には勉強が思うように進まないと、愛知県の行政1から専門試験のない行政2への変更を企図する者が出る。「教養のみ」に絞ったほうが得策と考える傾向があるようだ。教養試験を不得手とする私学の学生には、学内講座において専門試験の力をつけることで受験の幅が広がり、国家公務員や地方上級の可能性も広がってくる。「国公立大生に勝てないという先入観は払拭していかなくてはならない。地方上級をめざす受講者が多いのだが、難関公務員をめざす人には国家総合職から受験していく受験パターンの認識も必要。国家総合職はとうてい受からないし、国を動かすような大きな仕事は自分には無理と思っている受講者も少なくないが、難関試験に合格することで大きな自信が生まれる。受験パターンをしっかり研究して積極的に受験し、さらなる飛躍を遂げるよう祈っている。私にとって名古屋市は「行きたい」街だ。

【TOPICS】「行きたくない街」は名古屋 市自ら調査、つらい結果に

 名古屋市は、東京23区と札幌、横浜、名古屋、京都、大阪、神戸、福岡の7市に住む20~64歳を対象にインターネット調査を実施し、各都市から418人ずつ回答を得た。どの程度行きたいか尋ねて指数化すると、名古屋は「1.4」。首位京都(37.6)の27分の1という結果となった。「最も魅力的に感じる都市」に名古屋を選んだのは全体の3%で最下位。首位の東京23区(22.4%)の7分の1だった。「最も魅力に欠ける都市」は大阪市は(17.2%)を引き離し、30.1%に上った。(2016.8.31 朝日新聞)

2016年9月 7日 (水)

『仕事入門ブック』好評発売中!

 受験ジャーナル特別企画2『公務員の仕事入門ブック 29年度試験対応』がただ今、好評発売中!

Photo_2

 巻頭グラビア見たい!知りたい!公務員の仕事場訪問では、突撃取材を敢行!

1.文部科学省 研究振興局 ライフサイエンス課

 医療、健康、農業、食料、環境など、あらゆる問題を解決するために研究者たちは新たな技術の開発に努め、企業はその技術を活かして製品やサービスとしての実用化をめざす。こうした一連の流れを根底から支えているライフサイエンス課をルポ。

2.神戸市 企画調整局創造都市推進部

 日本を代表する港町・神戸が今、市を挙げて進めている取組みが「デザイン」によるまちづくり。そのデザインの力で街の未来を切り開かんとする創造都市推進部をルポ。

PART1「国家公務員の仕事ガイド」

 冒頭の「国家公務員の魅力」については、27年度『受験ジャーナル』の連載「変わる!霞が関」をご執筆いただいた、人事院公務員研修所主任教授・高嶋直人さんにインタビュー。“国をつくる”という実感が国家公務員の魅力で、それには主体性と自主性が必要、と熱く語っていただいた。

PART2「地方公務員の仕事ガイド」

 冒頭の「本音でTalk 地方公務員の魅力とは」については、地方公務員として最前線で頑張る、冨田昌洋さん、島田正樹さん(さいたま市)、小関一史さん(東松山市)、宮武寛さん(所沢市)の4人に、リアルな実態を語っていただいた。

PART3「スペシャリストの仕事ガイド」

 財務専門官、国税専門官等、独自の研修を積み、専門的な業務に携わるスペシャリストたちの具体的な仕事内容について、多角的に紹介した。

 “3年で3人に1人は転職する”という定説が今も続いている。それどころか、“3か月離職”も散見されるようになってきた。安全株の公務員とて職場になじめず、少なからず早期に退職する者がいる。受験先選定に当たっては、十分な仕事研究が欠かせない。ミスマッチを起こさないために必読の一冊。ぜひご一読ください!

「一生の仕事を見いだした人には、ほかの幸福を探す必要はない」(T.カーライル)

 

2016年8月31日 (水)

大学生の自殺

【問】 次の文の空所に該当する人物名は誰か。(28年度 特別区1類改題)

   「(   )は、『自殺論』の中でアノミー的自殺は、欲求の無規制と肥大化を意味し、それによって不安や焦燥、幻滅などが強く感じられるようになり、これらが自殺の原因になるとしている。」

 18歳以下の自殺は、過去40年間で夏休み明けの“9月1日”が最も多い(平成27年版『自殺対策白書』)。10代前半の自殺は事前に予兆がないことが多く、子ども自らが周囲に悩みを打ち明けやすい環境を作っていくことが重要だという。小学生~大学生の自殺者数は、平成19年以降の年次推移を見ると23年が1,026人で最も多かったが、26年は866人とここ3年で減少傾向にある。26年中の自殺者数の内訳は、小学生が17人、中学生が99人、高校生が213人、大学生が428人、専門学校生等が109人。このうち大学生が自殺者数の約半数を占めていることに驚く。「(長期休暇明けは)大きなプレッシャーや精神的動揺が生じやすい」と同白書は分析する。9月中旬には多くの大学で新学期を迎える。民間就活、公務員採用試験は10月には内定が出る。いまだ内定が決まらず、大きなプレッシャーや精神的動揺にある者も多いことだろうが、うまくいかずとも絶望せず、命を粗末にしないでほしいと願う。チャンスはこれから何度でも訪れるのだから。

Photo

 注目すべきは、自殺で亡くなった人の多くが、直前まで生きようと努力したということ。亡くなる前に、70%が行政や医療などの機関に相談し、5%は自殺の当日にも相談していたそうだ。死にたいと思い詰めている人の多くは、実は生きたいとも思っている。生きるための支援があれば、自殺は減らせる。ネガティブなテーマではあるが、「自殺防止策」は公務員として避けて通れない重要課題。じっくりと考えをまとめておこう。

【答】 「デュルケム」が該当する。デュルケムは、『自殺論』において、集団本位的自殺、自己本位的自殺、宿命的自殺、アノミー的自殺という自殺の4類型を提示した。自殺には個人的原因や理由があると考えて、失恋、受験失敗、出世競争での敗退、リストラによる失業、経済破綻、重篤な疾病罹患などのほかに、社会の状況が自殺を増加させたり減少させたりするという分析もできる。そうした自殺の数に影響を与える社会情勢として、アノミー(社会の規範が弛緩・崩壊することなどによる無規範・無規則状態)的状況がある。社会的規則・規制が減少したり、個人が自己決定できる範囲が増えたり、自分の欲望や欲求を追求する機会が多くなる状況になると、自殺が増えるという。1991年のソ連崩壊後、ロシアの自殺率が急増し、世界一となったのも、規制が減少して、個人の経済活動の自由が増加したことと関係があるといわれる。また、スウェーデンでは、高度経済成長を実現するため女性の就業を急拡大させた時期と自殺の増加が一致しているそうだ。日本で戦後から1958年まで自殺が増加したのもアノミー的状況のゆえといわれる。

2016年8月24日 (水)

国家一般職官庁訪問実施中!

 8月22日(月)9:00、28年度の国家一般職の最終合格発表があった。今年から官庁訪問の開始が同日10:00以降と、最終合格発表の後となり、昨年までのように、業務説明会の後の官庁訪問でせっかく内々定を取りながら、後から発表される最終合格発表で不合格となってハシゴを外されてしまうという悲劇はなくなる。国家一般職の官庁訪問は、国家総合職の官庁訪問のようなクール制はとっておらず、回り方にルールはないのだが、比較的短期間で選考が進んでいくので、注意が必要。

Photo

Photo_2人事院1階特設の「官庁訪問休憩コーナー」の内部。冷蔵庫にあるペットボトルの冷たいお水がありがたい。

「女性活躍推進法」が成立して、もうじき1周年(平成27年8月28日成立)。国家公務員の世界では、着々と女性の活躍の機会を拡充すべく、合格者数を増やしている。人事院では、女性のためのトークライブや女性のための公務研究セミナー開催など、女性の志望者増加に積極的に取り組んできた。また、28年度試験対応の『受験ジャーナル』では、「MYワークライフバランス」という記事を連載したが、掲載した女性たちは皆、仕事だけでなく、人生も最大限に楽しんでいる。時間の使い方が上手な素敵な方々ばかりだった。28年度の国家公務員一般職試験(大卒程度)では、前年度比236人増の7,583人が最終合格。うち女性は33.6%に当たる2,548人で、人数・割合とも国家2種試験なども含め記録のある昭和43年度以降での最高を更新した。「行政」に限ると、前年度比282人増の5,419人が合格、うち女性は39.2%に当たる。これまで女性の合格者数・割合の最高は、いずれも27年度の2,321人、31.6%だった。“国家公務員離れ”は女性が食い止める!

Photo_3

28年度試験対応Vol.5掲載の環境省の中尾文子さん。そういえば、リオ五輪のカヌー競技で羽根田卓也選手が銅メダルを獲得したっけ。

2016年8月22日 (月)

リオから東京へ…

 日本選手団の金メダルが16個だったアテネ五輪以来、3大会ぶりに2ケタとなり、メダルは史上最多41個の成功裡に終わったリオ五輪。マスコミで脚光を浴びる華やかな喧騒の陰で、閉会式に近づく8月21日に決勝が行われた「近代五種」岩元勝平選手(自衛隊)を心密かに注目。鹿児島出身でおそらく私とルーツを同じくすると思う。今は同じ市内に住んでおり、ヒンシュクのにわか親戚気取りで応援。

Photo

Photo_2

 そもそも「近代五種」とは、どんな競技なのか? 19世紀、ナポレオン時代のフランスで、敵陣を突っ切って自軍まで戦果を報告することを命令された騎兵将校が、馬で敵陣に乗り込み(①馬術)、途中の敵を銃と剣で討ち倒し(②射撃・③フェンシング)、川を泳いで渡り(④水泳)、丘を越えて走り抜けた(⑤ランニング〈クロスカントリー〉)、という故事をもとに、近代オリンピックの創立者であるクーベルタン男爵が古代ギリシアで行われていた古代五種(レスリング・円盤投・やり投・走幅跳・短距離走)になぞらえ「近代五種」として競技化した複合競技だそうな。現在はマイナーな競技でも活躍する選手が出ればマスコミにも取り上げられる。近代五種は別名「キング・オブ・スポーツ」と呼ばれている競技。結果は29位だったが、岩元選手の今後の活躍に注目したい。

http://pentathlon.jp

 さて、いよいよ東京オリンピック・パラリンピック。27年度の論文試験では以下のような課題が課されている。今後もこうした課題の出題は続くであろう。要チェック!

大阪府 2020年に東京オリンピック・パラリンピックが開催されることが決定しており、また、スポーツに関する施策を総合的に推進するためスポーツ庁が本年10月に発足する見通しであることなど、わが国においてはスポーツ振興に関する気運が高まっています。

 これについて、次の(1)から(3)の問いに答えなさい。

(1) スポーツが個人や社会にとってどのような意義を有しているかについて、あなたの考えを述べなさい。

(2) スポーツを通じて明るく活力に満ちた社会の創出を目指していくことが必要とされていますが、わが国において、スポーツを推進するにあたっての課題にはどのようなものがあるか、具体的に述べなさい。

(3) (2)で述べた課題をふまえたうえで、わが国における一層のスポーツ振興のためにどのような取組みが必要か、具体的に述べなさい。

【奈良県】 奈良県のもつ国際的に価値のある文化や歴史は、日本を代表して世界に発信できるものであり、2020年オリンピック・パラリンピックの東京開催は、奈良県の良さをアピールする絶好の機会になると思われます。そこで、2020年までの5年間、奈良県が克服すべき課題を整理した上で、海外からの観光客誘致のために何ができるか、あなたが考える有効な施策とその効果について具体的に論じなさい。

 新たなオリンピック開催には、大気汚染やゴミの急増、道路の渋滞や鉄道の混雑、震災、テロといったいわゆる「20世紀の負の遺産」ともいえる大都市問題の解決が託されている。そのためにはリオ五輪の運営状況を検証し、環境問題への配慮、大会のセキュリティ対策や輸送のインフラ対策等、議論を深めていく必要がある。日本が成熟した先進国として、今後どのように歩んでいくのか、世界に示すイベントにしなければならない。

 

2016年8月18日 (木)

チェンジメーカーよりも…

 ビル=クリントンは、妻ヒラリーの米大統領選挙での応援演説で、「彼女は変革を起こせる“チェンジメーカー”だ」と賛辞した。世の中を変えるチェンジメーカーとなりうる者は、「よそ者、若者、ばか者」だという。外部からの視点を注入する「よそ者」、新規学卒者中心の「若者」、そして何事にものめり込んで自ら汗を流す「ばか者」が組織をより活気あるものにしていく。

 そんな折、熊本県荒尾市は、今年度の職員採用試験(高校卒業程度)の受験区分のうち、市内高校に通う生徒を対象に、一次試験を免除する「地元高校特別枠」を新設した。「特別枠」には校長推薦が必要で、市は「地元高校生の経験と意欲を市政に活用したい」としている。市内には荒尾・岱志高、有明高、荒尾支援学校(高等部)といった3校があり、成績優秀で、地域貢献活動など課外活動に積極的に参加した生徒をそれぞれの校長が推薦する。高卒程度の採用予定は事務職で3人程度。特別枠の受験者は、一次の教養試験の合格者とともに二次(面接、作文、集団討論、適性試験)を受験できる。二次では、いずれの受験者も同じ基準で扱うため、一次の結果(点数)は加味しないという<リセット方式>。

 山下慶一郎市長は「校長推薦を受け、二次試験を行うので、平等性は担保される」としたうえで、対象を市内校に限定したことについて、「地元でなければ、市内地域についてわからないため」としている。“地元志向”は地方へ行けば行くほど強くなる。定型的な業務に従事する「高校卒業程度の受験区分」とはいえ、公開・平等の公務員試験の採用枠を限られた「特別枠」で地元高校に限定してしまうのは全国的には珍しいケース。しかしながら、これまで「スーパー公務員」のような“チェンジメーカー”ばかりが祭り上げられてきたが、市政の根幹を支えているのは地道にコツコツと働く“郷土愛”の強い職員たち。“スタンドプレイ”よりも “チームプレイ”。熊本地震の後、復興に向けての支援に多大な尽力をしている職員たちに頼もしい後輩が加わるよう祈りたい。

夏の読書2

Photo

和辻哲郎著『風土―人間学的考察』(岩波文庫)

2016年8月10日 (水)

夏の読書に『星の王子さま』を

 情報提供でお世話になっている人事院企画課人事交流企画官・谷内絵理さんが『人事院月報 2016.6月号』に寄稿された「「若手職員への推薦図書」を読んで 『星の王子さま』〜行政官のあり方を描いた寓話としての名作〜」を拝読。

Photo_3

Photo_6

Photo

Photo_7

 『星の王子さま』は児童文学としてだけでなく、行政官としての職務・職責に照らした実務的な寓話としても読み解けるとのこと。受験勉強に追われる受験者への夏休みの教養書として、オススメします。

 行政官としての職務・職責と結びつく話の例として、

 “本作の最終章で「ぼく」は満天の星空のどこかに帰ってしまった王子を思う。王子が笑えば、王子の小さな星は鈴が鳴るように見える。一方、王子が星空を見ると、そのどこかに「ぼく」が水を与えてくれた砂漠の水を持つ地球があることを思い出す。その星がどこにあるかは遠くてわからないからこそ、どの星にも可能性がある。「ぼく」から見た星空は5億の鈴に、王子から見た5億の泉に見える。行政官も1つの星。まずは職場において上司・部下・同僚のために心を尽くすことで、周りにもその職場全体は輝いて見えるようになるかもしれない。そして、行政官一人ひとりが国民に対して奉仕の精神を持って真摯に行政サービスを提供することで、それがたとえ国民からは直接見えなくても、組織や公務全体の信頼につながっていく。”

 上述の例は行政官だけでなく、一人の人間として誰もが“星空の鈴”“砂漠の泉”でなければならないことを示唆しています。今日はそんな気持ちを持って、夜の星を見上げてみましょう。“夏を征する者は受験を征す”は公務員試験も同様です。人物試験対策ともなるような人として必要な教養を身につけながら、計画的に学習を進めてください。

 計画のない目標は、ただの願い事にすぎない。

 癒しの「サン=テグジュペリの名言・格言」より

 http://iyashitour.com/archives/29943





2016年8月 2日 (火)

いざ!官庁訪問

 7月29日(金)、28年度の国家総合職(春試験)の最終合格発表がありました。27年度は第二次試験日と地方上級の第一次試験日が重なり、多くの大卒程度試験受験者が国家総合職の第二次試験を辞退する事態もあり、大卒程度試験の合格者数が減少しましたが、その補填を図るべく、28年度は1,372人に増加しました(27年度1,071人、約30%増)。一方、27年度では大卒程度試験の減少分を埋めるべく増加した院卒者試験の合格者数は、28年度は639人に減少しました(27年度655人、約2.4%減)。これに伴って、10人以上の合格者を輩出した大学が27年度は25校でしたが、28年度は33校に増加しました。

 また、安倍内閣は2020年までに指導的地位に占める女性の割合を3割に引き上げるとの目標を掲げていますが、うち女性は院卒者試験・大卒程度試験合わせて512人(27年度395人)で、全体の25.5%(27年度22.9%)を占めました。女性合格者は人数、割合とも過去最高となりました(これまでの最高記録は、人数は2014年度の399人、割合は2012年度の22.9%)。女性の採用増を目論んで試験内容の見直しを行った「政治・国際」区分の合格者は52人(うち女性15人、28.8%)と、2.9倍に大幅増加しました(27年度18人、うち女性2人、11.1%)。

Photo

 官庁訪問の開始は、国家総合職が8月3日(水)8:30以降、国家一般職が8月22日(月)10:00以降となっています。官庁訪問は、むろん真剣勝負の場であり、職場見学ではなく“採用面接”です。そして、知識そのものよりも「府省の課題をどれだけ自分の問題として考えているか」が問われます。「この職場に憧れていた」ではなく、「私はこの職場の役に立つ」という認識が必要です。

 官庁訪問をするメリットとして、

 (1) その官庁の職場の雰囲気を判断できる

 官庁訪問は、まずその職場説明会に参加することから始まります。説明会に参加すると、主な仕事の内容や現在取組中の重点施策などが紹介されます。質問ができますので、マナーだと思って必ず質問をしましょう。そこで、だいたいその職場の雰囲気が“感覚”で判断できると思います。それぞれの府省等でカラーがありますので、“感覚”を研ぎ澄ますためにも積極的に参加することをオススメします。

 (2) 絶好の情報交換の場である

 受験者にとっては、府省等の情報を得て積極的に自己PRする場です。それとともに官庁訪問に来ている人は、もはやライバルではなく同じ仲間という認識を持って情報交換するとよいでしょう。そうすると、あの省庁はけっこう激務で厳しいとか、あの省庁は採用に積極的でねらい目だといった、知りえなかった有益な情報を入手できることもあります。同じ立場の人たちですから、敵対視せずフランクに話しかけたほうが得るものが多いと思います。

 官庁訪問→採用面接は“お見合い”。情熱を持ってお見合い(官庁訪問)に臨んでも、お相手(面接官)にはどうしても“好き嫌い”があります。お相手(府省)それぞれにキャラの違い、お好みが当然あるわけです。そこでは自分がいくら好意を持って接してもお相手から好感を持たれているかいないか、“空気を読む”という感性が必要になってきます。最後はお相手との相性です。KYでは決して内々定は取れません。片思いか、相思相愛か、この見極めができ、臨機応変に志望先の軌道修正ができるかが勝負の分かれ目となります。積極的に動いて、内々定をゲットしてください。ご健闘を祈ります!

Photo_2

山本七平『「空気」の研究』(文春文庫)

2016年7月25日 (月)

高等学校新設科目「公共」に向けて

 7月23日(土)、公開シンポジウム「高等学校新設科目『公共』にむけて――政治学の立場から」を拝聴(於:日本学術会議講堂)。「公共」は、2022年度を目処に高等学校に新設される公民科の必修科目。この科目では、選挙権年齢が18歳以上に引き下げられたことを受け、選挙など政治参加について学習する。 “考える科目”として重要なポジションを占める科目となる。

Photo

 改正公職選挙法により新たに有権者に加わった18・19歳の若者たちは国政選挙のほか、31日(日)の都知事選といった地方自治体の首長と議会の選挙にも参加し、地域の身近な問題に選挙過程を通じて大きな影響を与えることも可能となった。今回の公開シンポジウムは、高校3年生の一部も選挙に参加しうる改正公職選挙法を受け、政治学の立場から、政治学習の高大連携の視点も踏まえつつ、 「主権者」教育を含む市民教育の意義を広く政治参加という文脈で、公民・市民、国際比較、地域の各観点から問題を提起し、高等学校の新科目となる「公共」を考えていくに当たっての知識交換の場とする趣旨で開催され、西川伸一先生(明治大学政治経済学部教授)、佐々木信夫先生(中央大学大学院教授)、羽場久美子先生(青山学院大学大学院教授)ら、熱のこもった5名の報告があった。

Photo_2

 西川先生からは、明治大学政治過程分科会公開シンポジウム「前編・彼らはいかに選択するか」での18歳と19歳の投票行動に関する分析について発表された。総務省は7月11日(月)、参院選で新たに有権者となった18歳と19歳の投票率に関し、45.45%と発表した。全体の投票率54.70%を9.25ポイント下回ったが、18歳は51.17%、19歳は39.66%で、18歳の投票率はまずまず。政府は全高校生に副教材を配布するなど主権者教育や啓発に力を入れ、各政党も18歳選挙権を意識した公約を掲げたり、若者向けのイベントを開いたりしてきたが、まだまだ浸透は不十分で高投票率には結びつかなかった。ただ、過去の参院選では若年層の低投票率傾向が顕著だった。前回2013年の参院選の20代の投票率(抽出調査)33.37%と比較すると、今回の18歳の投票率は約18ポイントも高い。初動効果もあるとはいえ、18歳の有権者の中には高校生もおり、一定程度の教育効果や、政治参加への関心の高まりがあったと見られる。若いうちから投票する人は年を取っても投票し続けるというデータがあるそうだ。棄権癖だけはつけないように、もう少し肩の力を抜いて、とにかく投票所に足を運ぶことが大切ということだ。